応用事例2
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はじめに
ライフスタイルの変化に伴う大型ショッピングセンターの例にみられるような、流通業の発展によりPOS(販売時点情報管理)の導入が盛んになり、消費財でのバーコードはなじみの深いものになりました。一方、生産現場でもPOP(製造時点情報管理)としてバーコードの利用は盛んです。しかし製造現場での利用は一般に量産品工場にみられる生産ラインを通過する組立部品の把握や生産個数からの進捗管理などによる場合が多いようです。受注生産を行う大型構造物など生産財にみられる「一個流し」の生産現場ではバーコードが使用されている例が少ないようですが、方法によっては有効に利用できます。本稿では製品に直にバーコードを取り付けられず、また大型構造物であることからパレットなど搬送治具が使用できない場合の工程管理でのバーコード利用を考察してみました。大型機器の製造上の特徴
主な製品建築物、橋梁、プラント機器など大型構造物では製品の性格上、個別・受注生産品であります。またそれ自体重量物であることからコンベア上を流れるといった明確な生産ラインが表れず、工場レイアウトは製造法配置となります。その上、製造途上ではパレット、トレーに相当するものがないこと、溶接など高熱が加わることなどや、大型部品であることから制作部品(仕掛品)に貼りつけたバーコードにより生産管理を行う例はあまりありません。一方、CIM化の発展にてビル建設現場でも生産管理、工程管理を行った例があります。最近の例ではH型鋼の工場出荷に際しバーコードを張りつけ、クレーン移動や溶接ロボットなどにより、現場工事を自動化した大林組リバーサイドビルでの例があります。時を同じくして、プラント用大型機器製缶工場でもバーコードを用い、生産管理に用い資材入出庫、進捗管理を行いました。ここでいう大型機器制缶工場とは主に石油プラント・原子力発電プラント用機器などの圧力容器、反応塔、熱交換器などを制作しています(写真1)。これら大型機器制作工場は前述のように量産工場と庫となり連続でなく、また熟練工の技量が必要とされる情報化とはあまり関わりのない職場でした。通常工場FA化にともなうバーコード利用は多能な自動機械を導入された連続生産ラインの工場でも利用価値は十分にあります。
写真1 製缶工場内部
バーコード利用の工場の業務の流れプラントに使用される熱交換器について内部チューブと断面図を写真2に示します。家庭用エアコンの室外機と同様な熱交換原理で、空気冷却の代わりに液体を使用し、形状をバカでかくしたものと考えてもよいでしょう。直径2〜4mの円筒殻(板厚10〜70mm程度)に直径20mm程度のチューブを500〜2000本挿入し、チューブの内外を異種の液体を流すことにより高温流体を低温にしたり、又その逆の熱交換を行うものです。運転条件が高圧(5〜150気圧)、高温(150〜500℃程度)と過酷なためちょっとした小さな欠陥でも大事故につながるので、制作途中の検査も官庁立会いのもとに厳しく行われ、溶接部などX線透過検査を始め数種類の検査を同じ部分に何回も行われます。また形状も複雑なことから機械の自動化が難しく熟練工の手作業に頼ることが多いわけです。その上機器の性格上仕込生産はありえず、全て受注後設計・制作を行い、同一仕様の制作数量は通常1基という受注・個別生産品となります。
写真2 熱交換器のチューブと断面図
現場での効果<情報機器構成>
第1図 情報機器編成
第1図に示します。工場ホストと設計部のCAD/CAM系及び関連部署がネットワークで結ばれ、また遠隔地の本社コンピュータとは通信回線で結ばれております。また生産現場にはタッチ式のバーコードリーダが多数配置されています。
<受注からバーコードつき発注伝票の発行まで>
営業部で受注した情報を基に、別途示される要求仕様をもとにCAD(Computer Aided Design)にて設計業務が行われます。そのCAD情報により材料データが作成され、資材課では素材や部品の購入手配をコンピュータ端末を用いて行います。個別生産のためボルト1本にいたるまで特注品となります。そして発注伝票は納品書、荷札などがワンセットとなり発行されます。そして伝票上には型番、部品番号をバーコード化し表示されます。カーボンコピーでも2枚目も、3枚目もバーコードが利用されるために特殊な伝票用紙が使われます。
<バーコード付き作業指示票の発行>
一方、制作課では、機器を構成する部品を制作単位に全て分解し、それぞれ作業指示票の発行準備を行います。通常部品展開は量産生産工場にてMRP(資材所要量計算)のために行いますが、受注個別生産工場では、制作は1回限りのためあまり手間をかけないため詳細部品までの展開を行わないのが通常ですが、これをコンピュータにより容易にできるようになっています。
第2図 作業指示表
この作業指示票(第2図)は一つの部品に対し4〜50工程が一覧で示されPERT(Program Evaluation and Review Technique)に基づき、着工日、完了日が示されますが、途中検査工程は官庁立会いが不連続(特定の曜日)に行われるので、この工程を考慮しながらスケジューリングされます。制作課ではこれら作業指示票単位に一週間の進捗状況を進捗レポートで確認しながら、次週作業予定の作業指示票を発行し特製ビニールケースに入れ現場組長に配布します。なお進捗状況は現場で作業指示票のバーコードで入力でき、現場を回らずにコンピュータ画面で即時把握することができます。<現場での作業>
(1)立体自動倉庫(AS)と無人搬送車(AGV)
ここで扱う部品は大部分が重量物であり運搬は殆どクレーンに頼らなければなりません。そのため決められた棚に整頓して人手で収納することはできず、現場の広い面積に直置きとなりもの探しなどに結構時間を費やしました。この改善案として、作業指示票単位に部品を立体倉庫に格納することにしました。入荷の際の荷札(発注伝票と同時に発行したもの)に図番・品番がバーコードで示され、それをもとに立体自動倉庫に格納します。写真3にAS,AGVを示します。
写真3 立体自動倉庫と無人搬送車
(2)部品の呼出
現場に約20mおきに設置されたタッチパネル式のコンピュータ端末(写真4)に、作業指示票のバーコードをよむことによりその工程で用いる図番・品番の入ったパレットが自動倉庫よりAGVで現場に搬送されます。このAGVも部品の性格から積載量3トンで特製パレットは1.5×1.5mの大きさで、パレットにもバーコードがふってあり識別されています。
写真4 端末装置
なお余談ですがAGVは重量物運搬を行うので人とぶつかると痛いだけでは済まされないので前方センサーに加え、上方センサー、サイドストッパーもオプションで付け加えられ、また自動倉庫も荷の出し入れ以外に人が通過するとタッカークレーンが停止するなど安全面では特に配慮がされています。(3)作業の進捗と工程の把握
加工部品が到着すると、AGVでの搬送指示を行った同じ端末と同じ作業指示票を用いて作業開始登録をします。これと同時に各自の個人用IDカードとも照会します。これにて工程の進捗が自動的にコンピュータデータとなるわけです。個別生産なのでその作業に要した工数はその部品の原価としてそのまま記録する必要があるので、そのまま個人票データが消費工数として登録されます。この端末は、比較的高齢者の職場でも使い勝手を考えタッチパネル方式を用いました。(4)NC(数値制御工作機械)、MC(マシニングセンター)データの自動作成
機械加工にも多くの自動機械が入れられています。NC,MCをはじめ、鋼板メーカーからの板材を図面通りに自動的に切断するプラズマ切断機等の加工データはCADより直接作成し、これら工作機械の運転データとしております。単純な形状の溶接には3軸溶接ロボットも導入されており、それらは現場操作盤で運転データを与えています。<事務所でのモニター>
事務所は安全靴で出入りするところですが、床は埃防止のためカーペットではなくプラタイルです。その下はフリーアクセスフロアとなりネットワークケーブルがはりめぐらされています。進捗や余欠力がグラフで一目瞭然に示され、工場運営の必要データが即座に工場管理者に提供されます。これらも全て現場でのバーコード利用による作業進捗の登録があるからです。
3K職場などといういやな言葉が一時はやりましたが、バブルがはじけて製造業が見直されてきました。流通業の物流の合理化は交通渋滞や地球環境汚染問題などで見直しがされていますが、製造工程内でもマテハンと工程管理を統合させて合理的工場運営が大きな課題となっております。製造工程では工場内物流は間接作業となりますが、この部分の合理化が進み直接員は考えながらの作業を行う人間本来の姿を取り戻しつつあるとおもいます。参考資料
(1)グリーンサークル90(富士フィルム株式会社)
(2)JIS B 8249 (日本規格協会)
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