応用事例3
新大阪郵便局・大阪小包郵便局の
郵便処理システムにおける自動認識技術


郵政省 吉岡 益夫(建築部技術開発室)




はじめに

 郵便事業は、宅配便の台頭やファクシミリに代表される情報通信メディアの進展などで、厳しい競争の中にある。これに伴い、郵便処理のスピードアップ、郵便物の品質保護など、郵便サービスに対するユーザーのニーズが高まってきている。
 一方で、労働需要の遍迫という状況もある。最近は不況のあおりで、ある程度緩和されてはいるが、将来的には労働力の確保が困難になると予想される。
 このような状況のなか、西日本の郵便ネットワークの中心である大阪に、新たな区分・輸送拠点として、通常郵便物を扱う「新大阪郵便局」、小包郵便物を扱う「大阪小包郵便局」が、平成6年8月1日から業務を開始した。
 新大阪郵便局・大阪小包郵便局は同じ敷地内にあり、延べ床面積は新大阪郵便局が、約64.000平方メートル、大阪小包郵便局が約45.000平方メートルである。
 郵便作業遺棄としては各階に広い空間を設け、新大阪郵便局で4階層、大阪小包郵便局で3階層としている。内部には最新の物流システムを導入しており(第1表)、ロールボックスパレット(以下「パレット」)、ケースを用いたユニットロード化に対応したスタンドアロンの機械を余裕をもって配置している。
 このなかで、自動認識装置としては、バーコードスキャナ、イメージスキャナ、OCRを採用している。これらはケース移載機、ケース区分機、ケース搬送システム、フラット※1区分機、書状区分機および把束※2区分機で仕様している。

郵便物の流れ


第1図 郵便の流れ(新大阪郵便局)


第2図 郵便処理システム鳥瞰図
    (新大阪郵便局)

新大阪郵便局(第1図、第2図)
 郵便車が1階に到着すると、パレットは発着台の油圧リフトを使用して局内に取り卸される。このパレットは、ケースのみのパレット、混載パレット(ケース、書留郵便、把束などの混載)、大型把束のみのパレット、繰越※3パレットに分類される。
 ケースのみのパレットは、ケース移載機に供給される。混載パレットは混載パレット開披場で、ケース、繰越メールケース(航空機搭載用)と速達小包、大型把束、書留郵便に分類される。ケースはケース移載機に供給され、メールケースと速達小包、書留郵便は1階の処理場へ、大型把束は3階の処理場へ、開披メールケースは4階の処理場へパレットで運ばれる。繰越パレットは差立場に運ばれるが、距離が長いため、有人搬送車を使って数パレット連結して搬送する。
 ケース移載機へ供給されたパレットは、自動的にケースが取り卸される。このケースの多くは繰越ケースで、2階のケース区分機に送られる。また、繰越以外のケースは、局内の所定の処理場に送られる。3階は、大型郵便物と書留、速達郵便物の処理場で、パケット※4区分機、フラット区分機、手区分場がある。フラット区分機は厚さの薄い大型通常郵便物はパケット区分機で区分される。
 4階は、小型通常郵便物の処理場で、書状区分機(自動読取区分機)、把束区分機、手区分場がある。書状区分機は小型通常郵便物を1通づつ区分し、把束区分機は小型通常郵便物の束を区分する。  局内で区分された郵便物は、パレットまたはケースに収められる。このパレットは1階差立場へ運ばれる。また、ケースは自動的にケース区分機に送られる。ケース区分機は、このケースと前述の繰越ケースをあわせて所定のあて先へと区分する。区分されたケースは自動的に1階の積み込場へ送られ、ケース移載機でパレットに積み込まれ、隣接した差立場から郵便車に積まれる。

大阪小包郵便局
 郵便車が1階に到着すると、パレットは発着台の油圧リフトを使用して局内へ取り卸される。このパレットは、近畿地域(滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県および和歌山県)あてのパレットとその他地域あてのパレットに分類される。
 小包区分機は近畿地域用とその他地域用があり、パレットはそれぞれの区分機の供給部へ人手で運ばれる。そして、小包はパレットから人手で取り卸され、小包区分機に供給され、区分される。区分された小包は再びパレットに積まれて、隣接した差立場から郵便車につまれる。


  ※1 フラット :厚さ20mm以下の大型通常郵便物。
  ※2 把束   :区分された郵便物を複数通まとめて束ねること。  
  ※3 繰越   :到着した郵便物を他の局へ送りだすこと。
  ※4 パケット :フラットを除いた大型通常郵便物。


第1表 郵便処理システムリスト

ケース区分機 (写真1、写真2)


写真1 ケース区分機
(メインソーター)

写真2 ケース区分機(読み取り部)
    手前がバーコードスキャナ、
    奥がイメージスキャナ
 ケース区分機は、多局から到着した繰越ケースや局内で作成されたケースを区分する機械で、ケースを各処理場およびメインソーターへ区分するプリソーターと各方面別の処理場へ区分するメインソーターで構成される。ケースにはバーコード付きの票札が付いており、このバーコードをレーザースキャナで読み取り、ケースをあて先に区分する。ケースが所定の位置にくると、複数のナローベルとの間からチルトホイールが浮き上がり、ケースをブッファーコンベヤへ水平区分する。ケースは必要に応じて一時的にこのブッファーコンベヤ上貯められる。このケースはケース用スパイラルシュートで1階に降ろされ、積み込み用ケース移載機に供給される。
 年賀用のケースは、票札に付けられた赤色年賀スタンプをイメージスキャナで読み取って年賀処理場へと区分する。これは、カラーカメラで票札部分を読み取り、票札の赤色部分を2値化し、その合計した画素数一定レベル以上あれば年賀と判別するものである。
 ここにイメージスキャナを採用したのは、年賀用のケースを作成するのは特定の短期間のみであり、年賀専用のバーコード票札を作るにはコストがかかりすぎるということで、小型通常郵便物の票札に年賀スタンプを押すこととしたためである。


ケース移載機(写真3、写真4)


写真3 取り卸し用ケース移載機
(固定式)

写真4 ケース用スパイラルシートと
    積み込み用ケース移載機
   (自走式)
 ケース移載機は、郵便物の入ったケースをパレットから自動的に取り降ろしたり、積み込んだりする機械で、取り降ろし用と積み込み用がある。
 取り降ろし用は、人がパレットフィーダにパレットを供給すると、パレットは所定の位置に固定される。次にフォークが上段から順番に4ケースずつ掴み、コンベヤ上に取り卸す。空になったパレットはパレットフィーダにより自動的に排出され、次のパレットを引き込む。このパレットフィーダには2個のパレットを待機させることができる。ここ取り卸したケースはケースエレベーターを使って2階のケース区分機へ送る。
 積み込み用には、固定式と自走式がある。
 固定式は、取り卸し用とほぼ同じメカニズムである。フォークで4ケースずつ掴み、パレットの下段から積み込んでいく。これを5回繰り返すとパレットは満杯となる。この際、ケース移載機 はケースの票札のバーコードを読み取り、区分方面の再確認とケースの向きを確認してパレットに積み込む。ケースはスタック・ネスティング方式で、段積みができる構造になっている。同一の方向で積むと薄く段積みができ、空のケースの収納に都合がよくなり、反対の向きで積むと厚くなり郵便物を入れた状態で積み上げができる。郵便物が入っている状態では上下のケースは常に反対方向を向かねばならないことから、パレットに積み込むケースの方向を確認する必要がある。
 自走式は、郵便物の入ったケースをバーコードを読むことで、方面別でに区分しながら複数のパレットに積み込む機械である。人が空のパレットを7方面のパレットフィツタをセットする。この機械には、7方面のあて先を持ったケースがランダムに流れてくる。走行台車のフォークはケースを1個ずつ掴み、所定のパレットに積み込む。20ケース積み込まれたパレットは、人手により排出され、次ぎのパレットと交換される。

ケース搬送システム

 ケースを局内の所定の場所に搬送するものである。例えば2階のケース区分機から4階の年賀郵便物処理場へ、3階の速達処理場から2階のケース区分機へ、などである。ローラコンベヤを中心にベルトコンベヤ、ケースエレベータおよびケース用スパイラルシュートからなる。このシステムは前述のケース区分機同様に、ケースのバーコードまたは年賀スタンプを読むことによってケースのあて先を認識し、搬送する。

書状区分機(写真5)


写真5 書状区分機
 書状区分機は、葉書、封書に記載してある手書きまたは印刷活字の郵便番号をOCRで読み取り大阪市内あてで物量の多いあて先は大容量区分口へ、そのほかの物量の少ないあて先と郵便番号を付定された大口利用者あては一般区分口へ区分する。
 郵便物をケースから取り出し、取りそろえて供給部へセットすると、郵便物はバキュームによって1枚ずつ切り離されて、ベルトコンベヤで光電変換部へ搬送される。光電変換部では、郵便物に光を当て、郵便物の表面の情報を光の強弱としてとらえ、電気信号に変換する。次に判定部で、第一候補として赤枠内の郵便番号を検出し、切り出す。赤枠内に郵便番号が書かれていない場合は、第二候補として郵便物の全体から郵便物を検出し、切り出す。次に、検出した数字をコンピュータに内蔵している数字辞書と照合し、郵便番号を認識し郵便物を該当する区分口へ搬送する。
 大容量区分口の郵便物はケースにいれ、区分口下のケース搬送コンベヤで払い出され、ケース区分機へと搬送される。一般区分口の郵便物はパック式把束機で把束し、把束区分機へ供給する。

フラット区分機(写真6)


写真6 フラット区分機
 フラット区分機は、大阪府あてのフラットが対象で、OCRでフラットの表面に書かれた手書きまたは印刷活字の郵便番号を読み取って区分する。OCRでの読み取りは書状区分機とほぼ同じである。フラットは一般の書状とは異なり、郵便番号の記載位置に制限がなく、郵便番号の文字サイズが大きばらついているため、光電変換部で広く見る必要がある。


把束区分機(写真7)


写真7 把束区分機
    インダクション上部が
    バーコードスキャナー
 把束は、主に、区分された小型通常郵便物の束を熱収縮する透明フィルムでラップしたものである。このほか、バンドで縛ったものもある。他の局、あるいはこの局で把束を作るとき、バーコード付きの紙札が載せられる。把束区分機はこのバーコードを読み取って区分する。この把束はパンに移動され、所定の位置でパンが傾転し、シュートを通過し自動的にケースに納入される。バーコードのない一部の把束は、キーボードから郵便番号を入力することで区分を行う。

その他の区分機

 この他に、パケット区分機と小包区分機がある。これらはキーボード入力で区分する。


バーコード(第3図)


第3図 標札(左)と紙札(右)
 新大阪郵便局では、区分作業の効率化とスピードアップをはかるため、ケース区分用の票札と把束区分用の紙札にバーコードを採用した。
 バーコードは、JIS X-0501(共通商品コード用バーコードシンボル)で、郵便番号5桁と局内処理場コードの2桁、チェックディジット1桁の計8桁で構成される。票札はJAN8の拡大率1.85倍で、反射率75%以上の白色上質紙に印刷されている。
 票札には、作業者にもわかるように、あて先、郵便物の内容およびケースを作成した郵便局名が文字で書いてある。また、年賀スタンプを押すスペースをとるため、バーコードの高さを低くしてある。このほか、ケースのホルダーに差し込むため、ボール紙を使い強度をもたせている。
 紙札は郵便物の上に載せて把束するため、把束用のバンドがバーコードを隠さないように票札より大きなバーコードを使っている。
 郵便局では、このほかに、書留のバーコード処理システム、国際エキスプレスメール追跡システム、小包追跡システム、不在持ち戻り郵便物管理システムなどにバーコードを使っている。国際エキスプレスメール追跡システムはCODE39の13桁、不在持ち戻り郵便物管理システムはNW-7の6桁、書留のバーコード処理システムと小包追跡システムは、NW-7の11桁をそれぞれ使っている。

おわりに

 郵政省では、「郵便処理システムの情報機械化に関する調査研究会(座長:石井威望慶応義塾大学教授)」 の提言を受け、新郵便番号制の検討を行っている。これは、現在の郵便番号を拡張し、町域※5までを表わ7けたの新郵便番号とするもので、新郵便番号と住所の数字部分(丁目、番、番号等の数字)を合わせてバーコード化する計画である。これにより、現在、人手にヨッテイル配達局での局内作業の機械化を目指している。
 これらをふまえ、現在、キーボード入力を行っている小包やパケット等にも新しい入力システムを取り入れるなど、さらに配達のスピードアップや郵便物の品質保護を図るため、次世代の郵便処理システムの模索をしてゆきたいと考えている。

※5 町域 : 特別区、政令指定都市の区、市町村区域内の町または字の地域。



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